トチの木について
ウィキペディアで調べてみたら
トチノキはトチノキ属の落葉広葉樹ですが
案外面白い意外なことも知ることができました。
近縁種の西洋トチの木が「マロニエ」の木のことであるとか
栃木県はこの栃の木から名前があるんだとか…。
へえ~~~。
宮沢賢治の童話の中の
どれで栃の木がでてきたかなあ、
いろいろと出てきた気がしたのですが
本当に好きだったお話の一つで
「鹿踊りのはじまり」(ししをどりのはじまり)の中でトチが出てきたなあと
思い出しあらためて読んでみました。
その話はこう始まります。
そのとき西のぎらぎらのちじれた雲のあひだから、夕日は赤くななめに
苔の野原に注ぎ、すすきはみんな白い火のようにゆれて光りました。
わたくしが疲れてそこに睡り(ねむり)ますと、ざあざあ吹いていた風が、
だんだん人のことばにきこえ、やがてそれは、いま北上の山の方や、
野原に行われていた鹿踊りの、ほんたうの精神を語りました。
主人公の嘉十(かじゅう)はある日栗の木から落ちて少し左の膝を悪くするのですが
そんな時には西の山の中の湯の湧くところに小屋をかけて療しにいくという設定。
そこへの途中一休みして栃と粟のだんごを出して食べるんですが
お腹がある程度いっぱいになって残った栃のだんごを栃の実の大きさくらい残し
「こいづば鹿さけでもやべか。それ、鹿、来て喰」とひとりごとのようにいって
それを
うめばちそうの白い花の下に置く、というところから
鹿が寄ってきて物語がはじまります。
すごくかわいいお話で
賢治の童話の中でも若い頃本当に好きでしたが
声に出してまた読んでみました。(年を取ると大事っぽいです!)
ひとつひとつの言葉を口にしているとなんとも野生とも言えるような
心ふるえるものを思い出せるような気がします。